次の設問に答えよ(センター試験 改)。
問1 上のA、Bの図は、世界と日本に共通してみられる特徴的な村落の形態を模式的に示したものである。A、Bについて述べた文として適当でないものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@ Aは、格子状に区画された耕地が広がっており、アメリカ合衆国のタウンシップ制による開拓地域にみられる。
A Aは、家屋が分散する散村形態をとっており、近代における北海道の開拓地域にみられる。
B Bは、道路に沿って家屋が並んでおり、ヨーロッパの森林地域における自然発生的集落にみられる。
C Bは、家屋の背後に短冊状の耕地が並んでおり、近世における日本の新田集落にみられる。
問2 村落の伝統的な形態と機能について説明した次の文章中の@〜Cの( )のうちから、適当でないものを一つ選べ。
村落の形態には、散村と集村がある。散村は屋敷の周りに耕地を集めやすいという農業経営上の利点をもつ。日本では、@(出雲平野や砺波平野に典型的な散村がみられる)。A(アメリカ合衆国のタウンシップ制にもとづく村落も散村の一つである)。集村は村落共同体としてのまとまりが良いという傾向をもつ。B(防御的機能に優れた集村の例には、ヨーロッパの丘上(きゅうじょう)集落がある)。また、中世以降、森林開発によって成立したドイツの林地村は、C(教会を中心に、家屋や耕地・林地が同心円状に配列されている)。
問3 日本と西ヨーロッパの村落の特徴について述べた文として最も適当なものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@ 日本の山間部では、第二次世界大戦後に農地の整理統合がすすんだことから、散村の形態をとる村落が多い。
A 西ヨーロッパの平野部では、かつて農業における共同作業や外敵に対する防御が必要であったことから、集村の形態をとる村落が多い。
B 日本の多くの村落では、食料自給率の向上をめざした農業振興によって農業従事者の相対的な所得が上昇したため、人口の増加がみられる。
C 西ヨーロッパの多くの村落では、EU(ヨーロッパ連合)の共通農業政策によって新規就農者が増加したため、耕作放棄地が減少している。
答え
問1 B
問2 C
問3 A
解説
問1
Bの村落は、道路に沿って規則的に家屋が並んでいるため、路村に区分される。自然発生的集落には整然な並びはみられず、形態は塊村を示す。
問2
@は適当。散村は家屋が1戸ずつ分散している。砺波平野など水に恵まれた沖積低地にみられる。
Aは適当。タウンシップ制は格子状の道路網をもち、散村が見られる。
Bは適当。丘上集落はイタリアなど地中海沿岸で中世までに成立した集落。外敵や疫病を避けて丘上に立地している。
Cは不適。林地村は、中世のドイツなどで森林地域の開発によって新たに成立した集落。道路に沿って列状に家屋が立地、家屋の背後に耕地、草地、森林が短冊状に配列された。
問3
@は不適。日本の山間部では、人びとはわずかな平地に集まり、集村が形成されることが多い。
Aは適当。散村は計画的につくられた村落に多い。西ヨーロッパの平野部にみられる自然発生的な村落では集村の形態をとることが多い。
Bは不適。日本の多くの村落では、高度経済成長期に都市への人口流出が進み、人口が減少した。また、農業外所得に依存する農家が多く、所得が上昇したとはいいきれない。
Cは不適。ヨーロッパの農村人口は減少傾向にある。また、共通農業政策よる補助金の削減や農産物の保証価格の引き下げなどにより、従来の保護政策も見直されている。よって、新規就農者が増加しているとはいえない。
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