最終更新日2024年12月20日
戻る  メニューに戻る

地理の知識へのお誘い
戻る  メニューに戻る
地理の学習室



使われている統計には古いものもあります。新しい統計を調べてみてください。

出てくる地名でわからないものは、かならず地図帳などで確認してみてください。




中国の人口と少数民族

巨大な人口
 中国は、巨大な人口(日本の約10倍)を擁しており、その9割以上が漢族である。この膨大な人口は中国の強みでもあった。たった1割でも、大変な数である。近年の中国における経済発展は、富裕層を生み、彼らは日本の中産階級の収入をしのぎ、総人口の1割で日本の全人口に等しい。彼らの消費を当てこんだ企業進出はめざましい。
 人口増加を抑制するために、1979年に中国政府は少数民族を除いて出産を一人と制限する一人っ子政策を発動した。やがて、生産年齢人口(15〜64歳)が急速に減少し、老年人口(65歳以上)が増加するので、やがて賃金の高騰が起こる。そのため、中国経済の優位が損なわれることも予想される。
 この一人っ子政策による矛盾を緩和するために、2016年に施行された新法は二人までの出産を認めた。そして、出生増加に対応した育児休暇や託児所の制度整備を進めており、産業界では、人口自体の巨大さから、出生増に対応する産業の振興が期待されている。

多様な少数民族
 漢族とは、漢王朝の人びとを周辺民族が呼んだ呼称である。漢族は周辺の諸民族を吸収したが、現代でもなお少数民族は50族余り、合計1億人を超える。
 ウイグル族は北西部のシンチャン・ウイグル自治区で多数を占める民族で、羊の遊牧やオアシス農業と商業に従事している。自治区内では、行政官・軍人や商人などとして増加する漢族に対する反発が大きい。チベット族はヒマラヤ山脈とカラコルム山脈とのあいだに広がるチベット高原に居住し、ヤクの放牧を中心とした生活を営んでいる。行政官や軍人は漢族が圧倒的に多く、チベット族との収入の格差も大きい。
 モンゴル族は内モンゴル自治区を形成し、独自の文字と言語を持つ少数民族である。鉄鋼業などの鉱工業と、商業や宇宙開発基地もおかれ、入植してくる漢族との軋轢(あつれき)は下火になった。現在、モンゴル族はこの地域の人口の20%を割っている。朝鮮族は北朝鮮に近い東北地方に居住し、ハングル文字を用い、南北朝鮮との交易にたずさわる者が多い。その他、独自の文化によって観光業を発達させている少数民族もある。

中国の人口と少数民族



大学入試問題例
1 中国には、世界の人口のおよそ18%にあたる約( )億人が住んでいる(2020年)。 14
2 中国では、少数民族ごとにまとまって居住しており、( )つの自治区が設けられている。 5
3 中国の少数民族の人口順位のうち、第1位の(1)族、第2位の(2)族、第4位の(3)族、第8位の(4)族、第9位の(5)族は、5自治区に対応する民族である(2010年)。 1チョワン(壮)2ホイ(回) 3ウイグル 4チベット 5モンゴル
4 ベトナムとの国境付近に居住する農耕民族が多い(1)自治区は(2)の本流であるシー川(西江)の中流に位置し、(3)岩の岩塔が多数そびえる塔状カルストの景勝地(4)がある。 1コワンシーチョワン(広西壮)族 2チュー川(珠江) 3石灰 4コイリン(桂林)
5 中国に自治区(区都(1)))をもつ(2)族は、中世以降に中国に移住してきたアラブ人を母体とし、イスラーム教を信仰する。 1インチョワン(銀川) 2ホイ(回) (注 ニンシャホイ(寧夏回)族自治区)
6 ウルムチを中心都市とする自治区に暮らす(1)族には(2)を信仰する人が多い。 1ウイグル 2イスラーム教
7 (1)族が多数居住する自治区(区都(2))の都市パオトウ(包頭)には、三大鉄鋼コンビナートの一つが立地する。 1モンゴル 2フホホト (注 内モンゴル自治区)
8 中国の5自治区の各主要民族のうち、モンゴル族についで人口が少ない(1)族の主要宗教は(2)教で、自治区の区都は(3)である。 1チベット 2チベット仏(ラマ) 3ラサ
9 少数民族の人口順位第3位で、中国北東部を中心に暮らす( )族の人口は1,000万人を超えている(2010年)。 満州
10 (1)族は自治区をもたないが、中国の少数民族のうち第5位の人口(2010年)を有し、中国南部のほか東南アジア諸国のうち(2)・(3)・(4)・(5)(注 順不同)などの高地に居住して、焼畑農業を主体とした生活を営む。 1ミャオ(苗) 2ベトナム 2ラオス 3タイ 4ミャンマー
11 朝鮮族は、北朝鮮と国境を接する(1)省内の自治州に多く居住する。この省の省都は(2)である。 1チーリン(吉林) 2チャンチュン(長春)
12 アジアに古くからみられた中国人の移民(1)の大半は、中国の中でも(2)地域の出身であり、移住先としては(3)アジアが特に多かった。 1華僑 2華南 3東南
13 東南アジアで活躍する華南出身の中国系のうち、華北から南下してきた漢族の子孫は( )と呼ばれ、独特の言語と強固な組織力で知られている。 ハッカ(客家)



****