最終更新日2025年6月19日
日本史の歴史地図へのお誘い
日本史の演習
−院政期の文化−
次の文の( )に適する語句を入れ、下図の( )に適する語句をそれぞれのヒントを参考にして答えなさい。
貴族文化は院政期に入ると、新たに台頭してきた武士や庶民とその背後にある地方文化を取り入れるようになって、新鮮で豊かなものを生み出した。
後白河上皇が民間の流行歌謡である(1)を学んで『(2)』を撰したことは、この時代の貴族と庶民の文化との関わりをよく示している。(1)は当時流行した歌謡であり、この他に古代の歌謡から発達した催馬楽(さいばら)や和漢の名句を吟(ぎん)じる朗詠(ろうえい)も流行した。(3)や猿楽(さるがく)などの芸能も、庶民のみならず、貴族のあいだにも流行し、祇園祭(ぎおんまつり)などの御霊会(ごりょうえ)や大寺院の法会(ほうえ)などで演じられた。また、インド・中国・日本の1000余りの説話を集めた『(4)』には、武士や庶民の活動・生活が描かれており、平将門の乱を描いた『(5)』に続いて、前九年合戦を描いた『(6)』などの初期の軍記物語が描かれたことも、この時代の貴族が地方の動きや武士・庶民の姿に関心をもっていたことを示している。
これまでの物語文学とともに、『(7)』や『今鏡(いまかがみ)』などの和文体の歴史物語が著されたのは、転換期に立って過去の歴史を振り返ろうとする、この時期の貴族の思想の表れである。
貴族と武士や庶民を結んだのは、寺院に所属しない聖(ひじり)や上人(しょうにん)などと呼ばれた民間の布教者であって、その浄土教の思想は全国に広がった。奥州藤原氏が建てた平泉の中尊寺(8)や、陸奥の(9)阿弥陀堂、九州豊後(ぶんご)の(10)など、地方豪族のつくった阿弥陀堂や浄土教美術が各地に残されている。また、平氏に信仰された安芸(あき)の(11)神社には、『(12)』が寄せられており、平氏の栄華と貴族性を物語っている。
絵と詞書(ことばがき)を織りまぜて時間の進行を表現する(13)が、この時代には大和絵の手法が用いられて発展した。『源氏物語絵巻』は貴族の需要に応じて描かれ、『(14)』は応天門の変に取材し、同じく朝廷の年中行事を描いた『年中行事絵巻』とともに、院政の舞台となった京都の姿を描いている。また『信貴山縁起(しぎさんえんぎ)絵巻』は聖の生き方や風景・人物を描き、『(15)』は、動物を擬人化して描いている。この絵巻物や、扇紙に大和絵で当時の風俗を描いている『(16)』の下絵からは、地方の社会や庶民の生活が浮かび上がってくる。
ヒント
17.断崖のくぼみに造られた懸造寺院。
18.九州最古の阿弥陀堂建築物。浄土教の地方伝播を示す典型。
19.62体の石仏群で、日本最大規模をほこる。
20.後白河法皇を願主に、平清盛が造営。本堂(三十三間堂)には千手観音坐像と千体の千手観音立像があった。焼失 後に再建された本堂は和様建築の典型とされる。
21.藤原清衡が平泉に建立した阿弥陀堂。
22.豪族岩城則道の妻が、夫の菩提をとむらうために、建立した。平泉の「泉」の文字を分割したものが由来という。
答え
(1 )(2 )(3 )(4 )
(5 )(6 )(7 )(8 )
(9 )(10 )(11 )(12 )
(13 )(14 )(15 )(16 )
(17 )(18 )(19 )(20 )
(21 )(22 )
解答
1今様(いまよう) 2梁塵(りょうじん)秘抄 3田楽(でんがく) 4今昔(こんじゃく)物語集
5将門記(しょうもんき) 6陸奥話記 7大鏡(おおかがみ) 8金色堂(ちゅうそんじこんじきどう)
9白水(しらみず) 10富貴寺大堂(ふきじおおどう) 11厳島(いつくしま) 12平家納経(のうきょう)
13絵巻物 14伴大納言絵巻 15鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが) 16扇面古写経(せんめんこしゃきょう) 17三仏
18富貴 19臼杵(うすき) 20蓮華王院 21金色堂 22白水
